映像のセーフティゾーンについて

ここではDVD・Blu-rayのプレス/コピー用マスター作成の際や、オーサリングサービスご依頼時の映像制作の際に注意が必要な、映像の「セーフティゾーン」について解説します。

テレビでDVDやBlu-rayを視聴した際に、映像の上下左右の外周部分が画面外にはみ出してしまい見えなくなることがあります。

テレビ視聴時に画面がはみ出す

そういった際にテロップなどが欠けてしまわないように、重要な要素は画面端ギリギリに配置しないで少し内側に寄せておきましょう、という目安がセーフティゾーン(セーフエリア、セーフマージンなどと呼ぶ場合もあります)です。

詳しい解説

テレビモニターは、オーバースキャン表示といって、映像の周辺部を画面の外側に切り捨てて表示します。

映像の編集中や、出来上がった動画をPCのプレイヤーやYouTubeなどの動画サイトで視聴する場合は、映像の端から端まで全て見えます(アンダースキャン表示)が、この動画をDVDやBlu-rayにしてテレビで視聴すると、上下左右が少しはみ出してしまうのです。

そのため、例えば映像の下部ギリギリの位置にテロップを配置していた場合、テレビで見たらテロップが半分隠れてしまって読めないということが起こります。

そこで、画面が切れることを想定してテロップをある程度内側に寄せて配置して、きちんと読めるようにします。

テレビ視聴時に画面がはみ出さない

この際にどの程度内側にしておけば良いのかの目安となるのが、セーフティゾーンです。

PCでの視聴には無関係ですが、DVDやBlu-rayがどのような環境で視聴されるかはユーザーによって様々なので、せっかくプレスやコピーで生産した作品の文字が読めないということがないよう、セーフティゾーンを意識してマスターや素材を作成することを当店では推奨しています。

特に配信用の映像は画面の下ギリギリにテロップが表示されているものが多いので、例えば「YouTubeで配信した映像をディスクにしてファンに届ける」といったようなことをする際には注意が必要です。

オーバースキャン表示は映像のほかDVDやBlu-rayのメニュー画面でも同様なので、映像の他にメニュー画面のチャプターリンクボタンも同じように内側に寄せておくと良いでしょう。

セーフティゾーンには「アクションセーフ」と「タイトルセーフ」の2種類があります。

アクションセーフ:ここまでは画面に映るであろうという範囲
タイトルセーフ:文字などの大事な情報はこの内側に入れておきましょうという範囲

つまり、タイトルセーフを意識して映像を制作するのが重要になります。

アクションセーフとタイトルセーフ

具体的にどこまでをセーフとして何パーセントのマージンを設ければいいのかは、はっきりと「ここまでなら絶対大丈夫」というのはなく、あくまで目安となります。

テレビが登場してから現在まででだんだん隠れる部分が少なくなってきているので時代によってセーフティゾーンの基準が異なり、また視聴する機種によっても隠れる範囲が異なるためです。

当店では以下の範囲をセーフティとしてご提案しています。

安心セーフティ

これならまずどの環境でも切れることがないだろうという数値です。

  • アクションセーフ:93%
  • タイトルセーフ:90%

安心感はありますが、テロップなどが結構内側に来るため、デザインによっては少し格好悪くなるかもしれません。

安心セーフティ

ギリギリセーフティ

外周ギリギリのラインを攻めた数値です。

  • アクションセーフ:97.5%
  • タイトルセーフ:95%

現在の一般的な機種ならほぼ問題ないと思われますが、古い機種など視聴環境によっては表示が切れてしまう可能性が捨てきれません。

ギリギリセーフティ

「複数提示されても…結局どうすればいいの?」という場合は、とりあえず以下を守って映像やメニュー画面を作成していただくことをおすすめします。

文字などの大事な情報は画面の90%範囲内に配置する

90%セーフティ

言い換えると、外周10%の範囲にはテロップやボタンを配置しない、ということになります。

※あくまで当店による目安です。全ての環境での完璧な再生を保証するものではありません。

また結婚式でのビデオ上映など、失敗できない上映の場合では、試写をおこなう、事前に会場に確認をとる、などの対策をしておくと安心です。

(結婚式場は画面のサイズがマチマチで、85%~80%くらいになる可能性もあります)

だいたいの映像編集や画像編集のソフトで、セーフティゾーンのガイドを表示しながら作業をおこなうことが可能です。

また範囲も好きに設定することができる場合が多いです。

ここでは一例としてAdobe Premiere Proでの設定方法を紹介します。

(Premiereではセーフティゾーンのことを「セーフマージン」と呼び、このようにソフトによって言い方が変わってくる場合があります)

【セーフマージンの表示】
「モニタ画面上で右クリック」→「セーフマージン」で表示/非表示を切り替えられます。

Premiere Proセーフゾーン表示手順

【範囲の調整】
「ファイル」→「プロジェクト設定」→「一般」をクリック→「一般タブ」ウィンドウ下部の「アクションおよびタイトルセーフエリア」でセーフマージンの範囲を好きなように設定できます。

Premiere Proセーフゾーン範囲調整手順1
Premiere Proセーフゾーン範囲調整手順2

当店ではお客様からご支給頂いたマスターや映像、その他の素材について、原則として内容に関知はしません。

そのためセーフティゾーンを意識せずに制作した入稿物でプレス/コピー/オーサリングし、その納品物を再生した際に文字などが見切れてしまった場合には一切の責任を負いかねます。

また本ページで案内しているセーフティゾーンの範囲(具体的な%表記)は、あくまで目安です。この数値を守って制作したものについて全ての表示を保証するものではありません。

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